免停の講習と短縮できる期間
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免停は講習を受けると短くなる、と言われます。これは運用の慣行ではなく、道路交通法と施行令に根拠が置かれています。
ただし「どこまで短くできるか」には条文上の上限があり、期間の長さで扱いが変わります。このページは、その仕組みを条文で確認します。
免停の短縮講習と呼ばれることが多い講習です。
短縮の根拠は法律にある(道路交通法103条10項)
まず、短縮できると定めている条文です。
全文を開く(139字)
公安委員会は、第一項又は第四項の規定による免許の効力の停止(第一項第一号から第四号までのいずれかに該当することを理由とするものを除く。)を受けた者が第百八条の二第一項第三号に掲げる講習を終了したときは、政令で定める範囲内で、その者の免許の効力の停止の期間を短縮することができる。
条文から分かることを挙げます。
一つめ。短縮するのは公安委員会(免許を出している都道府県の機関)で、しかも「することができる」と書かれています。受ければ必ず自動的に短くなる、とは書かれていません。
二つめ。条件は、指定された講習を終了したことです。受けている途中では足りません。
三つめ。括弧書きで、病気や身体の障害などを理由とする停止が除かれています。違反によるものとは別の事情なので、講習で短縮する話に乗りません。
どこまで短くできるかは政令にある(施行令33条の5)
「政令で定める範囲内で」とあるので、範囲は施行令の側にあります。
全文を開く(204字)
法第九十条第十二項及び第百三条第十項(法第百七条の五第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める範囲は、法第百八条の二第一項第三号に掲げる講習を終了した日以後における当該講習を終了した者の免許の保留若しくは効力の停止の期間又は自動車等の運転の禁止の期間とする。ただし、その者の免許の保留若しくは効力の停止の期間又は自動車等の運転の禁止の期間が四十日以上の場合には、当該期間の二分の一を超えてはならない。
前半は、短縮できるのが講習を終了した日以後の期間だということです。終わった日より前には戻せません。だから受けるのが遅いほど、短縮できる幅は小さくなります。
後半のただし書に上限が置かれています。停止の期間が四十日以上の場合、短縮できるのはその期間の二分の一までです。長い停止ほど、割合としては減らせません。
つまり短い停止では講習を早く受けるほど残りが小さくなり、長い停止では上限のほうが先に効いてきます。
免許の効力の停止の期間四十日
四十日未満
講習を終了した日以後の期間が短縮できる範囲。早く受けるほど残りが小さくなる
四十日以上
その期間の二分の一を超えて短縮できない
受けても対象にならない場合がある(道路交通法108条の2第1項)
講習そのものを定めている条文には、対象から外れる人が書かれています。そのひとつがこれです。
第百二条の二の期間内に同条に規定する講習を受けなかつた者を除く
ここでいう第百二条の二は、軽い違反をした人に受講の義務を課している条文です。通知を受けてから一定の期間内に講習を受けなければならない、と定められています。
その期間内に受けなかった人は、停止の短縮につながる講習の対象から外れます。先に案内された講習を放置していると、あとから短縮を使えなくなるということです。
案内は書面で届きます。書面が届くかどうかは住所の届出に左右されるので、免許の住所変更は届出が義務も合わせて見ておいてください。
もう一つの講習は、処分そのものを止める(103条10項ただし書き・102条の2)
短縮の講習とは別に、軽い違反をした人が受ける講習があります。こちらは短縮ではなく、処分がされるかどうかに関わります。
処分の条文には、こういうただし書が置かれています。
ただし、第五号に該当する者が第百二条の二の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
講習を受けずに期間が過ぎたあとでなければ処分できない、と書かれています。逆にいえば、期間内に受けていれば、その事案では停止の処分に進まないことになります。
その期間も条文にあります。
全文を開く(133字)
当該通知を受けた日の翌日から起算した期間(講習を受けないことについて政令で定めるやむを得ない理由がある者にあつては、当該期間から当該事情の存する期間を除いた期間)が通算して一月を超えることとなるまでの間に第百八条の二第一項第十三号に掲げる講習を受けなければならない。
起算するのは通知を受けた日の翌日で、通算して一月を超えるまでの間です。やむを得ない理由がある場合は、その事情のある期間を差し引くとされています。
先にこちらの案内が届くことがあり、放置すると二重に不利になります。処分に進むうえに、上で見たとおり短縮の講習の対象からも外れるためです。
停止そのものは点数で決まる
そもそも停止になるかどうか、何日になるかは、累積点数(たまった点数の合計)と前歴で決まります。点数の数え方と、合計から外れる条件は免許の点数がリセットされる条件に整理しました。
ここで一つ関係してくるのが、停止処分を受けたあとの扱いです。処分の期間内に違反行為をしなければ、処分を受ける前の違反行為はその後の累積点数の計算から外れます。期間中に違反すると、この扱いを失います。
短縮を受けて早く運転できるようになっても、処分の期間そのものが消えるわけではない点には注意が要ります。
失効とは別のもの
停止と失効は名前が似ていますが、成り立ちが違います。停止は違反を理由とする処分で、期間が終われば元の免許に戻ります。
失効は更新を受けなかった結果として起きるもので、戻る仕組みがありません。線引きは免許が失効したら|6か月と3年の線引きに整理しました。
停止されていた期間は、優良運転者の年数にも点数の計算にも算入されません。どちらも「免許を受けていた期間」で数えるためです。条件はゴールド免許の条件は5年と無違反にまとめました。
停止中に運転した場合
停止の期間中は運転できません。短縮を受けるまでは、日数が残っている状態です。講習を申し込んだ時点ではまだ短縮されていないので、そこを取り違えないでください。
短縮が決まるのは、講習を終了して公安委員会が期間を短縮したときです。条文が「短縮することができる」としている以上、申込みや受講の予約がそのまま効果を持つわけではありません。
取り消しのほうは講習も期間の考え方も別で、試験の前に受けておく必要があります。取消処分者講習は1年以内でないと無効になるに分けて書きました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 5件
- 出典
- 2件(法令 2)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。