免許の意見の聴取は処分の前に開かれる
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免許の取り消しや停止は、通知が来ていきなり決まるわけではありません。処分の前に、本人が話せる場が条文で用意されています。
開かれるのは違反による処分のとき(道路交通法103条1項5号)
意見の聴取が開かれるのは、交通違反を重ねたことによる取消しや90日以上の停止と、ひき逃げや酒酔い運転などによる取消しの前です。
104条1項が意見の聴取の対象にしているのは、103条1項5号による取消しと90日以上の停止、それに103条2項1号から4号までによる取消しです。5号はこう書かれています。
自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第一号から第四号までのいずれかに該当する場合を除く。)。
交通違反を重ねた場合がここに入ります。2項1号から4号までは、故意に人を死傷させた場合や、危険運転致死傷、ひき逃げ、酒酔い運転などが並んでいます。
同じ103条でも、対象になる号とならない号があります。 1項1号の病気や1項の二の認知症による取消しは、意見の聴取ではなく次に見る聴聞の側です。処分の理由が違えば手続きも違うので、通知に書かれた根拠の条番号を見ることになります。
通知は期日の1週間前まで(道路交通法104条1項)
公安委員会は、意見の聴取の1週間前までに、処分をしようとする理由と期日・場所を本人に知らせます。
104条1項は、公安委員会が公開の意見の聴取を行わなければならない場面を並べたあと、続けてこう定めています。
104条1項を開く
この場合において、公安委員会は、意見の聴取の期日の一週間前までに、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所を通知し、かつ、意見の聴取の期日及び場所を公示しなければならない。
理由が先に示されるので、当日までに何を言うかを用意できます。
公安委員会は、免許を出している都道府県の機関です。1週間は準備の期間として短いので、通知が届いた日を起点に数えることになります。
意見を述べて、有利な証拠を出せる(104条2項)
当日にできることも条文にあります。
意見の聴取に際しては、当該処分に係る者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
代理人でもよい形になっています。本人が行けない場合の道が開いてあります。
そして「意見を述べ」だけでなく「有利な証拠を提出」まで入っています。話すだけの場ではありません。勤務先の書面や運行の記録など、手元にあるものを出せます。
専門家や関係者を呼べる場合がある(104条3項)
出せるのは書面だけではありません。3項に人の話を聴く定めがあります。
全文を開く(102字)
意見の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、公安委員会は、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。
求めるかどうかを決めるのは公安委員会の側です。本人が呼べるとは書かれていません。それでも、事案の関係人から事情を聴く道が条文に置かれています。現場の状況に争いがあるなら、意見を述べるときにその点を示しておくことになります。
出頭しないと、開かれずに処分が進む(104条4項)
正当な理由がなくて出頭しないと、聴取を行わずに処分ができます。逆に言えば、正当な理由があれば別に扱われます。
行かない場合の扱いは104条4項に決まっています。
104条4項を開く
公安委員会は、当該処分に係る者又はその代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該処分に係る者の所在が不明であるため第一項の通知をすることができず、かつ、同項後段の規定による公示をした日から三十日を経過してもその者の所在が判明しないときは、同項の規定にかかわらず、意見の聴取を行わないで第百三条第一項若しくは第四項の規定による免許の取消し若しくは効力の停止(同条第一項第五号に係るものに限る。)又は同条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し(同条第二項第一号から第四号までのいずれかに係るものに限る。)をすることができる。
所在が分からない場合は、公示から30日という期間が置かれています。引っ越して通知が届かないと、この形に入ります。住所の届出については免許証の住所変更はどこで、いつまでににまとめました。
名前の似た「聴聞」は別の条文(104条の2)
名前の似た「聴聞」は、意見の聴取とは別の手続きです。意見の聴取は道路交通法104条、聴聞は104条の2と、条文が分かれています。
ここが混ざりやすいところです。104条の2第1項がこう定めています。
104条の2第1項を開く
公安委員会は、第百三条第一項又は第四項の規定により免許の効力を九十日以上停止しようとするとき(同条第一項第五号に係る場合を除く。)は、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
聴聞は、根拠が行政手続法の側(行政手続法13条1項)にあります。
意見の聴取(104条)
- 根拠は道路交通法104条1項
- 通知は期日の1週間前まで
- 意見を述べ、有利な証拠を出せる
聴聞(104条の2)
- 根拠は行政手続法13条1項
- 通知は期日の1週間前まで
- 書類の交付以外の方法なら2週間を下回れない
分かれているのは根拠の法律と、通知に置く期間の下限。どちらも本人が話せる場であることは同じ
聴聞のほうも公開です。104条の2第4項にあります。
第二項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
通知の期間には、104条の2第3項に下限が置かれています。
前項の通知を行政手続法第十五条第三項に規定する方法によつて行う場合においては、同条第一項の規定により聴聞の期日までにおくべき相当な期間は、二週間を下回つてはならない。
書類の交付以外の方法で通知する場合は、2週間より短くできません。呼び方が違っても、本人が話せる場が置かれていることは変わりません。
それでも取り消しになった場合
意見の聴取や聴聞を経ても、処分が変わらないことはあります。その場合は、免許を受けることができない期間が指定されます。欠格期間と呼ばれることのある期間で、条文にはその言葉が出てきません。
取り直すまでの順番は取消処分者講習は1年以内でないと無効になるにまとめました。講習を受ける時期を間違えると、受け直しになります。
失効との違いは免許が失効したら|6か月と3年の線引きに、点数の数え方は免許の点数がリセットされる条件にあります。
取り直すときに教習所へ通う場合
期間が明けたあとは、学科も技能も最初から受け直すことになります。公安委員会の指定を受けた指定自動車教習所を使うと、卒業検定の合格で技能試験が免除されます。仕組みは指定自動車教習所とは何が違うのかにまとめました。
日程をまとめて取れるかどうかで、期間の管理のしかたが変わります。仮免許の有効期間と教習期限は起点が違うので、通いだと自分で数えることになります。期限の並びは教習期限は9か月、仮免許は6か月にあります。
記事末尾に挙げた遠鉄自動車学校は、静岡県内にグループ6校を持つ教習所です。公式サイトの about ページに、静岡県公安委員会の指定を受けていると書かれています。指定を受けた教習所なら、卒業検定の合格で技能試験が免除されます。免許を受けることができない期間が明けてからでないと入校しても意味がないので、自分の期間が何年なのかを通知書で確かめてから日程を決めることになります。
教習所を1校ずつ選ばず、窓口を使う形もあります。合宿免許受付センターは各地の指定自動車教習所を取り次ぐ窓口で、教習所そのものではありません。指定の有無は取り次がれる教習所ごとに確かめることになりますが、複数の教習所を並べて日程を比べられます。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 8件
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- 1件(法令 1)
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引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。