免許の住所変更は届出が義務
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引っ越したあと、免許証の住所が古いままになっていることがあります。運転そのものはできてしまうので、後回しにされやすい手続きです。
ただし道路交通法は、これを任意の手続きとしては書いていません。届け出ることを義務として定めていて、罰則の条文にも名前が挙がっています。このページは、条文がどう書いているのかを確認します。
条文は「届け出て」「受けなければならない」と書いている(道路交通法94条1項)
引っ越したら、新しい住所を管轄する公安委員会(窓口は引っ越し先の警察署や運転免許センター)へ「速やかに」届け出て、免許証に新しい住所を書いてもらう義務があります。期限は日数では決まっていません。県をまたいだときも、届け先は引っ越し先の側だけです。
根拠は道路交通法94条1項です。
道路交通法94条1項を開く
免許を受けた者は、第九十三条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載(前条の規定による記録が行われる場合にあつては、同条の規定による記録)を受けなければならない。
三つのことが書かれています。いつ出すのかは「速やかに」で、期限が日数では示されていません。どこへ出すのかは住所地を管轄する公安委員会です。そして末尾は「受けなければならない」で終わっていて、できる、という書き方ではありません。
括弧の中も読んでおく価値があります。公安委員会の管轄区域を異にして住所を変えたとき、つまり県をまたいで引っ越したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会が届け先になります。前に住んでいた県へ連絡する話ではなく、新しい住所の側だけで完結する形です。
引っ越し先で警察署や運転免許センターへ行くことになるのは、この括弧書きの帰結です。手続きの案内でそう書かれているからではなく、条文がそう組まれています。
住所だけの話ではない(93条1項)
この条文が指しているのは免許証の記載事項です。その中身は別の条文が列挙していて、そこにはこう並んでいます。
免許を受けた者の本籍、住所、氏名及び生年月日
住所と一緒に、本籍と氏名も並んでいます。結婚などで氏名が変わったときや、本籍を移したときにも同じ届出の条文が掛かります。
住所変更だけを手続きとして覚えていると、氏名が変わったときに何もしないままになりがちです。条文の側は、これらをまとめて記載事項として扱っています。
出さなかった場合の罰則(121条1項)
届け出なかったときの扱いも条文にあります。罰則の規定はこう始まります。
次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は科料に処する。
そして、この条文が挙げる号のひとつに、記載事項の変更届出の規定が名指しで入っています。届出をしないことが、罰則の対象として整理されているということです。
もっとも、罰則があるから急ぐ、という理解だけでは実態に合いません。届け出ないことで実際に困るのは、次に書く別のところで起きます。
案内が届かなくなるほうが重い
免許の更新は、期間が来たことを公安委員会から届く書面で知ることになります。その書面は住所地へ送られるので、届け出ていなければ前の住所へ送られます。
更新できる期間そのものは条文で決まっていて、案内が来なくても動きません。始まりと終わりは免許更新の期間は誕生日の前後1か月にまとめました。
更新の案内に何が書かれ、どの区分に該当するかが分かる仕組みはゴールド免許の条件は5年と無違反に整理しました。案内が来ることを前提に、自分で年数を数えなくてよい設計になっています。逆にいえば、その前提が崩れると気づく手段が減ります。
更新期間を過ぎれば免許は失効します。失効したあとに何ができて何ができなくなるか、期間による線引きは免許が失効したら|6か月と3年の線引きにまとめました。
条文を通して読んでも、案内が届かなかったことを理由に失効を取り消す仕組みは置かれていません。届出が本人の義務として書かれている以上、住所を知らせていなかった側の問題として扱われる構造になっています。
条文に書かれている罰
- 二万円以下の罰金又は科料
- 罰則の条文に記載事項の変更届出が名指しで入っている
条文に書かれていない結果
- 更新の案内が前の住所へ送られる
- 更新できる期間そのものは案内が来なくても動かない
- 落とせば失効し、優良運転者の年数も数え直しになる
重いのは罰のほうではなく、条文が結果として書いていない、書面が届かないというところ
ゴールド免許の年数も切れる
優良運転者(いわゆるゴールド免許)の要件は、継続して免許を受けている期間が五年以上であることでした。失効すればこの継続が切れ、取り直しても年数はそこから数え直しになります。
無違反を続けていても、住所変更を出していなかったせいで案内を受け取れず、更新を落として年数が消える、という経路がありえます。安全運転とは別のところで、書面が届くかどうかが効いてきます。
届出のときは再交付も選べる(94条2項)
住所変更を届け出たときは、免許証の再交付も申請できます。ただし任意で、義務は届出のほうにあります。
再交付を定めているのは94条2項です。
94条2項を開く
免許を受けた者は、免許証を亡失し、滅失し、汚損し、若しくは破損したとき、前条の規定による記録を毀損したとき、又は前項の規定による届出をしたとき、その他内閣府令で定めるときは、その者の住所地(仮免許に係る免許証にあつては、その者の住所地又はその者が現に自動車の運転に関する教習を受けている第九十八条第二項の規定による届出をした自動車教習所の所在地)を管轄する公安委員会に免許証の再交付を申請することができる。
紛失や汚損と並んで、前項の規定による届出をしたときが挙がっています。前項とは記載事項の変更届出のことなので、住所変更を届け出た場合も再交付を申請できる、という読み方になります。
変更の届出をすると、免許証の裏面に新しい住所が記載されていきます。何度か引っ越すと裏面が埋まっていくので、そこを整理したい場合にこの規定が使えます。
同じ条文は亡失・滅失のときも再交付の対象にしています。失くしたときに何が変わり、何が変わらないかは免許証を失くしても免許は消えないに整理しました。
合宿で取った直後の人ほど関係する
免許を取る時期と、進学や就職で住所が動く時期は重なりやすくなっています。実家の住所で免許を受けて、そのあと一人暮らしを始める、という順序はよくあります。
新規に取得した免許の最初の有効期間は三年です。次の更新までに間があるぶん、その間に住所が変わる可能性は低くありません。取得したときの住所のまま放置され、更新の案内を受け取れない形になりやすい時期でもあります。
卒業してから免許証が手元に来るまでの流れは卒業証明書の有効期限と免許証を受け取るまでにまとめました。受け取ったあとに引っ越す予定があるなら、その時点で届出も予定に入れておくと、更新まで持ち越さずに済みます。
必要なものは、道路交通法ではなく施行規則に書いてある(20条)
出すのは「別記様式第十六」の届出書です。住所の変更なら、住民票の写しなど新しい住所が分かる書類を窓口で見せます。
法律だけを読んでも持ち物は分かりません。様式を決めているのは道路交通法施行規則20条1項です。
法第九十四条第一項(法第九十五条の五第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する免許証の記載事項の変更の届出は、別記様式第十六の届出書を提出して行うものとする。
同じ20条の2項が、何を持っていくかを変更の種類ごとに分けています。住所を変えた場合はこれです。
住所を変更した者住民票の写しその他の住所を確かめるに足りる書類
「その他の住所を確かめるに足りる書類」なので、住民票の写しだけに限られてはいません。
住所の変更は「提示」、本籍と氏名の変更は「添付」
20条2項は、書類の出し方を号によって書き分けています。
住所を変更した
- 住民票の写しその他の住所を確かめるに足りる書類を提示する
- 提示なので、その場で見せて返してもらう形
本籍または氏名を変更した
- 本籍が記載された住民票の写しを届出書に添付する
- 添付なので、届出書と一緒に出したままになる
違うのは、書類が手元に戻るかどうか
住民票の写しを1通しか取っていないと、本籍や氏名も一緒に変えるときに足りなくなります。引っ越しと結婚が重なる場合は、ここで枚数が変わります。
マイナ免許証を持っているなら、住民票の写しが要らないことがある
20条3項が、免許情報を記録したマイナンバーカードを持っている場合の扱いを別に置いています。住所や氏名を変えたときは、変更後の住所が記載されたそのカードを見せる形になります。ただし条文は、公安委員会が必要と認める場合には住民票の写しも、という留保を付けています。
カードを持っていれば必ず住民票の写しが要らない、とまでは書かれていません。 2枚持ちと1枚化の違いはマイナ免許証の2枚持ちで何が変わるかにまとめました。
受付時間と、代理人による届出の扱いは条文にありません。そこは住所地を管轄する公安委員会、実際には引っ越し先の警察署や運転免許センターの案内を見ることになります。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 6件
- 出典
- 2件(法令 2)
- 公開
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